哲学の生活

ソクラテスの送っている哲学の生活に対しても、
彼は激しい非難を浴びせかける。
すなわち、彼の言い分では、
哲学というものは、若い年頃に、
教養のための範囲内で、
ほどよくそれに触れておくのなら、
結構なものだけれども、
ひとがそれ以上の年齢になってもまだ哲学を続けるなら、
その人はこの世に生きる全てを何一つ心得ないでしまうから、
身の破滅を招く事になるのは必定である。
そのような人間は、たとえてみれば、
いい年をしていながら、子どもの真似をして、
片言をいったり、遊技をしているのと同然であって、
それは滑稽であるばかりか、
そんなやつは殴りつけてやっても未だ足りないほどの気持ちになる、
というわけである。
そこでカルリクレスは、ソクラテスがいま行っているような、
社会の片隅に隠れて、数人の青少年を相手にぼそぼそとつぶやくだけの、
哲学の生活からは足を洗って、
国家社会のために自由に、大声で、堂々の発言をするように勧めるのである。
で、もしソクラテスがこの勧告に従わないで、
相変わらず哲学の研究にふけり、無駄話や馬鹿話を続けているようなら、いつ何時、誰からどんな恥辱を受けるかわからないし、また無実の罪で法廷へ連れ出されたとしても、身を守る手立てを知らないから、告発者の意思次第では、死刑になるかも知れないぞと、

p.357/8

ゴルギアス (岩波文庫)

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なんか俺似たような事をよく言われるんだが(笑)