喪が明けたらすぐに換えたら良かったのに

がんで入院していた80年代後半、ある役員が病院を訪れた。 彼は思い切って幸之助にこう提案した。

「松下(社名)とナショナル(ブランド)はかなり古くなった。 社名とブランドを‘パナソニック’に統一しましょう」。幸之助はしばらく言葉を失い、顔をぶるぶると震わせたという。 その姿を見た役員は真っ青になり、すぐに病院を出て行った。 この噂が社内で広まり、松下という社名とナショナルというブランドは一つの聖域になった。 ブランドを統一しようという話を持ち出すことさえもタブーとされた。 これは幸之助の死後も続いた。